とにかく広い北海道。その面積はオーストリアと同じくらいとか。日本の1つの地域でヨーロッパの1つの国と同じくらいの面積とは、考えられないほど広いですよね。そんな広い北海道には周辺に離島がいくつかあり、それが広大な北海道とはまた違った魅力を見せてくれます。
出典:国内ツアー
ここで紹介する北海道の離島は利尻島(りしりとう)、礼文島(れぶんとう)、天売島(てうりとう)、焼尻島(やぎしりとう)、奥尻島(おくしりとう)の5つの離島です。主に人が住んでいる北海道の離島はこの5つとされていますが、これら北海道の離島を、その島特有の自然環境などの特性、交通の利便性や不便さなどの交通事情、観光の楽しみ方の3つから徹底比較したいと思います。
利尻島
まず最初に紹介するのは利尻島。利尻島は「利尻昆布」が有名なので、それで名前を聞いたことがある人もいるかも知れません。そしてこの島、なんと島の真ん中に利尻山という大きな山があり、それを取り囲むように街がある島です。利尻山は日本百名山にも選ばれるほどの美しい山で、その美しい形から別名「利尻富士」とも呼ばれています。島の各地域からはそれぞれ違った角度で利尻山を楽しめます。絶景を楽しみながら島一周できる「利尻山16景スタンプラリー」も行われています。
出典:利尻山十六景 | りしぷら RISHIRI PLUS
そんな利尻島へのアクセスはフェリーもしくは飛行機です。フェリーなら稚内のフェリーターミナルから1時間40分ほど、飛行機なら札幌の丘珠空港(新千歳ではないのでご注意を)から50分ほどで着きます。フェリーで行くにも飛行機で行くにも、どちらにしても拠点が稚内や丘珠空港と結構ハードルが高いのがわかります。
しかしながら、ただでさえ広い北海道、離島へ行くにはそれなりの時間と労力が必要です。そしてその移動も旅の楽しみになると言えるのではないでしょうか。特にフェリーでの移動はオススメです。船内でゆっくりと過ごすのもいいですし、デッキに出て潮風に吹かれながら利尻島までの絶景を楽しむのもいいでしょう。旅の醍醐味、見知らぬ人とのコミュニケーションもそこから生まれてくるかも知れませんね。
出典:フォートラベル
利尻島での観光や過ごし方です。他の島と同じように釣り体験、クラフト体験などはたくさんありますが、利尻島に来たならぜひ利尻山登山をおススメします。登山は決して楽ではありません。一番メジャーな登山ルートは往復で10時間程度と初心者にはかなりキツいですが、山頂からの絶景は他の島では味わうことができない経験になるでしょう。
体力に自信がない人にはサイクリングやレンタカーを利用した島の周遊をオススメします。利尻島特有の自然環境はなんといっても利尻山。それは利尻島にしかない豊かな自然と特有の風景を島にもたらしてくれています。そんな島の豊かさをぜひ楽しんでみてください。
礼文島
出典:トラベルジェイピー
次にご紹介するのは礼文島です。礼文島といえば日本最北の離島です。これだけでも他の島にはない「一番」ですよね。そんな礼文島は花のまちといってもいいほど植生豊かで、約300種にも及ぶ植物が咲き誇る神秘的な島です。そしてまた吉永小百合さんが主演をした「北のカナリアたち」という映画のロケ地でもあり、その主な舞台となった小学校が公開されて多くの観光客が訪れています。
出典:ZEKKEI Japan
礼文島は最北の離島なだけあって時間は利尻島よりもかかります。利尻島には空港がありましたが、礼文島にはないため、行くとしたら稚内からフェリーで2時間もしくは丘珠空港から利尻島まで飛行機で行き、利尻島−礼文島間はフェリーで約45分です。利尻島−礼文島間はお互いに離島観光という面でも連携しているため、時間がゆるせば両離島をハシゴしてみてもいいのかも知れませんね。
出典:クラブツーリズム
礼文島は約300種にも及ぶ植物が咲き誇る島だけあって、そんな自然を歩きながら楽しめるトレッキングルートが整備されており、約2時間のお手軽コース(お手軽と言っていいのかわかりませんが)から8時間の本格コースまで、時間と体力に合わせて島を楽しめます。歩くのが好きな人にはぜひ礼文島のトレッキングコースをオススメします。そして毎年6月には「最北フラワーマラソン」なるものが開催されており、島民だけでなく島外からの参加者も大勢いて盛り上がるイベント。島の自然を歩きながら、走りながら楽しんでみてはいかがでしょうか。
天売島
お次は天売島です。天売島のウリは何と言っても「ウトウ」という鳥(ウミスズメ科)の世界一の繁殖地であることです。ヒナのふ化が始まる5月中旬から巣立ちを終える8月頃まで、この海鳥を目当てに世界中からバードウォッチングを楽しむ人たちで賑わいます。ウトウのシーズン、夕焼けが映える絶景を背景に魚をつかまえながら飛び交うウトウの光景を楽しめるのは、世界でただ1つこの島だけなのです。ただ、それだけ海鳥が頭の上を飛び交いますので、野外では常にウトウの「落し物」に注意しなければなりません。
天売島へのアクセスは、羽幌町(はぼろちょう)というところが起点となってきます。羽幌フェリーターミナルからフェリーで約1時間25分、高速船だと50分ほどで天売島につきます。ただし、羽幌町までは札幌から高速バスで約3時間15分と羽幌町に着くまでもかなりの道のりですね。ちなみに旭川からのアクセスもありますので(ただし札幌からのほうが利便性はいいです)、旭川を拠点に観光している人にもアクセス可能な場所だといえるでしょう。
海鳥ウォッチング
天売島へ来たならウトウをはじめとした海鳥ウォッチングは外せません。島一周の海鳥の繁殖地ガイドツアーなど、海鳥ガイドツアーも充実しています。自分たちで島を散策するのもいいですが、海鳥の生態や島の生活に詳しいガイド付きのツアーにぜひ参加してみてください。この世界一のウトウの繁殖地天売島をより一層楽しめること間違いなしです。
焼尻島
次は焼尻島。焼尻島の名産は「サフォーク」という羊の肉です。これは本当に柔らかくて羊肉特有の臭さもない、クセがないブランド羊肉です。海鮮が名物のほとんどの島と違って肉が名産というのも珍しいですよね。焼尻島は漁村の風景と牧場の風景の2つが楽しめる貴重な島です。
焼尻島は天売島と近いこともあり、「利尻島・礼文島」と同じように、「天売島・焼尻島」という風に対になって語られることも多い島です。そして観光面での天売島や羽幌町との連携も進んでいます。そんな焼尻島へのアクセスは羽幌フェリーターミナルからフェリーで約55分、高速船で約35分という近さ。天売島より手前にある島なのでよりアクセス面での利便性があります。そんな焼尻島、もちろん天売島からのアクセスもあり、片道15分の船旅でお互いの島へわたれます。そしてなんと、スケジュールをきちんと組み、天候の問題がなければ、天売島・焼尻島の日帰りもできてしまうようです。羽幌町観光協会のHPにいくつかモデルコースがありますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
出典:羽幌町観光協会
焼尻島での過ごし方ですが、他の島と同じくらい自然が豊かで、しかも海も牧場も、どちらの風景も楽しめる島であるにもかかわらず、なかなかそれが観光という形で表へ出てきていないのが残念ではあります。
しかしながらそれが島民の人柄の良さ!?を表しているといえるのかも知れません。焼尻島地域おこし協力隊の方も、「この島には『島民の誇り』のようなものがある」と言っていましたが、島民によって代々受け継がれてきた歴史文化をここでは感じれるのではないでしょうか。原生花園、自然林、羊牧場、そして島民の人柄は焼尻島だけの魅力ですので、それを楽しみつつ、天売島、羽幌町にも足を伸ばしてみるのもいいのではないでしょうか。
奥尻島
出典:フォートラベル
最後に奥尻島です。奥尻島といえば1993年(平成5年)の北海道南西沖地震の津波で多くの島民が犠牲となったことで知られています。その傷跡と復興の軌跡をたどるモニュメントや語り部による取り組み、またその震災で大きな被害を受けた場所をめぐる島歩きルートも。震災からの復興を遂げた現在では、新たな名物が奥尻島の観光を盛り上げています。それは奥尻島でつくられている奥尻ワインで、潮風を含んだブドウでつくられているためか、ほんのり塩味のあるワインだそう。
出典:【楽天市場】 ショップ一覧
奥尻島へのアクセスは函館に近い江差と札幌により近いせたなからフェリーが出ています。そして函館空港−奥尻空港間の飛行機に乗り空路でも行けます。飛行機は約30分、フェリーは江差−奥尻間は約2時間10分、せたな−奥尻間は約1時間35分の所要時間です。他の島もそうですが、フェリーも飛行機も天候の影響を受けやすく、強風などの悪天候が続くときは何日も運休続きになるので注意が必要です。
ただ、フェリーの欠航に関して今年面白い企画がありました。冬の間はフェリーの欠航が多くなるようで、フェリーが欠航した際は島民と一緒に鍋を囲む鍋パーティをし、欠航という嫌な思い出を楽しいものに変えるというイベントです。これは面白いですよね。
ウニがとても有名
出典:トラベルジェイピー
そんな奥尻島の観光ですが、奥尻島のマスコットキャラクターは「うにまる」という名前だけあって、ウニがとても有名です。ウニの時期はどこへ行っても安くて溢れんばかりのウニが味わえます。「うにまる」ですが、フェリー乗り場に乗船客をお出迎えしてくれる愛すべきキャラクターです。奥尻ワインに、ウニ丼、アワビなど奥尻グルメを堪能せずして帰れませんよね。
出典:やきとり・おくしり (奥尻)
また、数年前から始まった奥尻ムーンライトマラソンは大変人気で、その前夜祭には奥尻グルメが味わえるとかそうでないとか…。ちなみに今年は6月29日(金)前夜祭、6月30日(土)が大会当日で、エントリーは4月15日が締め切りだとか。
それぞれ違った個性がある5つの離島はいかがでしたでしょうか?島が違えば楽しみ方も違う。「北海道の離島」で一括りにはできませんよね。まだまだ楽しみ方がありそうな北海道の離島ですが、自分だけのオンリーワンの楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。