沖縄への旅行の目的が、「地元ならではのグルメを食べる」と言う方も多いのではないでしょうか?なかでも「鳴き声以外は全て食べる」と言われるほど、沖縄では豚肉を使った料理のバリエーションが豊富です。
耳はミミガー、顔はチラガー、足はテビチ、あばらはソーキ。さらに血やしっぽまで、100%とまでいきませんが爪やリンパなどごく一部を除きほとんどが食材となります。美味しくて栄養満点。となれば、旅行中に1度は本場の味を確かめておきたいところ。
沖縄で豚と言えば、アグー豚が代表格。そこで、数あるアグー豚の料理の中でしゃぶしゃぶととんかつが美味しい沖縄本島のオススメ店を厳選してご紹介します。
ところで、アグーってどんな豚?
沖縄固有の在来豚で、600年ほど前に中国から導入され沖縄で飼い続けられてきた島豚が起源とされます。
戦後西洋品種との交配により雑種化が進み、一時絶滅の危機に瀕する事態に。
出典:JAおきなわ
しかしその後詳しい調査の結果から発見された30頭の内の18頭から、約10年かけて雑種化を取り除く戻し交配が行われました。それにより、アグーは見事に復活を果たしました。
「アグー豚」と「あぐー豚」、カタカナとひらがなには意味がある!?
美味しそうなお店を探していると、「アグー豚」と「あぐー豚」2つの表記に気づきませんか?単なるお店側の都合、ではなく理由があります。
あぐー豚
琉球在来種アグーのオスと、デュロックやバークシャー・ランドレースなど西洋品種のメスを交配させたもの。
出典:食べログ
JAおきなわ銘柄豚推進協議会が策定した品質基準を充たした検査豚肉の統一ブランド名で、JAおきなわが「あぐー」の商標権を取得しています。
また沖縄県アグーブランド豚推進協議会が毎年度アグーブランド豚指定生産農場の認定を行い、「沖縄あぐー」「やんばる島豚あぐー」「美ら島あぐー」などの銘柄があります。
アグー豚
オス・メスとも琉球在来種アグーによる交配で、より純血統なものを指します。「金アグー」や、「島黒(しまくるー)」「黒琉豚」など銘柄にあえてカタカナのアグーを使っていないものも。
出典:やっぱり豚が好き
さらに西洋品種が入って戻し交配で復元した在来種アグーではなく、全く異なる東アジアの系統に入る「今帰仁アグー」と言う銘柄も。アグー豚は西洋品種との交配のものに比べて体格は小さく、成長も遅い。飼育は非常に手間がかかり生産数も少ないことから、食べられるお店も限られます。
出典:ちゅらグルメ
いずれにせよ、生産者が愛情を持って育てているのに変わりはありません。どんな銘柄のものが食べられるのか、気になる方はお出かけ前にお店に確認してみてください。
またJAおきなわ銘柄豚推進協議会や沖縄県アグーブランド豚推進協議会、各店舗のHPなどでも紹介していますのでぜひご参考ください。
しゃぶしゃぶ&とんかつのオススメ店
まつもと
出典:食べログ
原種に近いあぐー豚のしゃぶしゃぶ専門店で、予約がなかなか取れない人気店。しゃぶしゃぶ肉に、もずく・海ぶどう・野菜盛り・シメのおじやが付く¥5500(税込)のセットがメイン。
つけダレは少し甘めの自家製ポン酢と、たっぷりのネギ。ほかにもオリジナルの辛味噌やシークヮーサー胡椒などがあるので、味変も楽しめます。
シメのおじやでもまだ食べ足りない、そんな時は山城牛のサーロインステーキや伊江島産の島らっきょうなども別途オーダーしてみましょう。
出典:食べログ
山城牛のサガリやタンなど、仕入れ状況によっては希少部位も食べられるかも。
2020年10月に現在の地に移転し、座席数も増えました。カウンター席もあるので、1人でも利用可能。くれぐれも事前の予約をお忘れ無く。
まつもと
住所:那覇市松山1-10-8 2F
電話番号:098-861-1890
アグーしゃぶしゃぶ みるく
出典:食べログ
しゃぶしゃぶが、定番のポン酢では無く溶き卵で食べるというちょっと珍しいお店。まずは自家製の出汁で、次に黒胡椒を入れた溶き卵でくぐらせていただきます。シメには、野菜や豚肉から出た旨みたっぷり出汁で作る雑炊が何とも味わい深い。
コースはアグーのロース肉・野菜・卵がセットの特選アグーしゃぶしゃぶ、さらに天然もずく・ジーマーミー豆腐・ラフテーが付く特選アグーしゃぶしゃぶ琉球セットがあります。海ぶどうや島らっきょうなどが単品で追加できるほか、県産和牛を使ったすきやきコースも。
出典:食べログ
店内は落ち着いた和の設えで、座席はカウンター席・テーブル席・掘りごたつの個室があります。事前に予約が必要ですが、対応は電話受付のみ。那覇店のほか恩納万座店も。
アグーしゃぶしゃぶ みるく 那覇本店
住所:那覇市若狭1-14-10
電話番号:098-866-1566
沖縄とんかつ食堂 しまぶた屋
天然酵母の自家製パンで作るパン粉、あぐー豚のラードで揚げるサクサクジューシーなとんかつが味わえるお店。ランチタイムの設定があるので、気軽にあぐー豚をいただけます。
ロース・ヒレ・合い盛り・ロールカツなど、様々な種類のメニューがあり、ランチタイムならゆし豆腐とお新香バーの食べ放題が付いてお得!オリジナルの少し甘めなソースとすり鉢でするゴマ、さらに宮古島の雪塩や久米島深層水の塩など10種類ほどの塩で食べ比べも可能。
出典:食べログ(上記3点)
ランチの予約はできませんが、ディナーはオンラインから予約可能。ディナーなら、しゃぶしゃぶととんかつ両方が味わえるお得なコースも。
店内はカウンター席・テーブル席があり、とってもオシャレな雰囲気。恩納村にも系列店舗があり、そちらにはテラス席も。
豚々ジャッキー
主に沖縄県産豚を使用するとんかつ店で、数量限定ですがあぐー豚のメニューも。ビルの2Fと言う立地ながら、日々多くのとんかつ好きリピーターで賑わっています。
ボリュームもしっかりあるのにリーズナブル、そのため売り切れに注意が必要。お店では肉の仕入れにも非常にこだわりがあり、冷凍ものは一切扱わず生肉のみ。
出典:食べログ(上記3点)
サクッと揚がった衣とジューシーなお肉は、おかわり自由なご飯が進み過ぎてしまいます。とんかつ以外にもヒレソテーや海老フライ・特製のてびちなどのメニューもあるので、グループならそれぞれ頼んでシェアして楽しめますね。
純血統金武アグー しゃぶしゃぶ金武本店
出典:食べログ
沖縄県産アグー豚の中で、わずか1%程度と言われる純血統種のアグー豚のみを扱うお店。月に30頭ほどしか生産されない超希少種なので、まさに幻の豚。沖縄県家畜改良協会でDNA鑑定を行い、証明もしっかりと受けているとか。
バラ・ロース・肩ロースを秘伝の出汁でしゃぶしゃぶ、そして素材本来のアグー豚の味を活かすため屋我地島産の塩、首里の玉那覇味噌、石垣島産シークワーサー胡椒でいただきます。ポン酢やゴマだれが一般的なしゃぶしゃぶですが、この店ならではの食べ方を提案。
出典:食べログ
欠かせない野菜も県内各所で作られた、島人参・田芋・オオタニワタリなど約20種の島野菜。追加注文できる海ぶどうを、しゃぶしゃぶしたアグー豚で巻いて食べるのもオススメ!
あぐーの店 山城亭
出典:トリップアドバイザー
自社農場で、衛生環境やエサにもこだわって放し飼いで育てているあぐー豚を使用。農場直営なので、鮮度がいいのは当たり前。しゃぶしゃぶをはじめ焼肉・生姜焼き・唐揚げ・ソーキそばなどあぐー豚のメニューが豊富で、いろんな味わいが楽しめると言うのもこのお店ならでは。
出典:食べログ
特に人気が高いのがしゃぶしゃぶ。あぐー豚のダシ骨から取ったダシに、新鮮な野菜とともに三枚肉やロース肉をしゃぶしゃぶすればさらに旨みが加わって最強のダシへと変身。そのままでも充分美味しいが、オリジナルのポン酢やゴマだれ・塩などで味変も楽しめます。
出典:フォートラベル
ラフテーや田芋のコロッケ・もずくや島らっきょうの天ぷらなど一品料理も多数あり、泡盛やオリオンビールによく合います。
恩納村にあるので周辺のホテルに滞在中に便利ですが、人気店のため予約するのがベスト。
あぐーの店 山城亭
住所:国頭郡恩納村前兼久968
電話番号:098-965-2336
ぎゅうとん合戦 恩納御殿
首里城をイメージしたというちょっと派手目な外観とは裏腹に、店名からは想像できない店内のオシャレさ。
全面ガラス張りでオーシャンビューと言うのも魅力。仲泊精肉店が直営し一頭買いすることで、新鮮さはもちろん値段もリーズナブル。
2大ブランド肉である石垣島の美崎牛、紅あぐー豚がイチオシのメニュー。紅あぐー豚はオスのアグー種とメスのランドレース種を交配させたもので、紅芋を配合した飼料で育てられます。甘み・旨みが強く、それでいて脂はしつこくない希少なお肉。
出典:食べログ(上記3点)
しゃぶしゃぶや焼肉・すき焼き・ちりとり鍋・もつ鍋のコースがあり、オーダーは2名から。「美崎牛と紅あぐー豚」「国産牛と紅あぐー豚」「紅あぐー豚だけ」など、一頭買いしているから組み合わせの自由の幅が利く。コース以外に、盛り合わせやサイドメニューなども豊富。希少部位は少ないため、売り切れに注意。
長堂屋
年間の出荷頭数はわずか400頭という、琉球在来種の黒豚・今帰仁アグーを扱う専門店。その幻の豚を、しゃぶしゃぶや焼肉で味わえる数少ないお店。今帰仁アグーのロース肉をしゃぶしゃぶしたあと、自家製のシークヮーサー胡椒やシークヮーサーポン酢でいただきます。
出典:食べログ
焼肉は炭火を使って七輪で焼き上げジュワッと脂が焼ける音と、煙と一緒に立ち上がる香りだけでもご飯が進みそう。それぞれには今帰仁産の旬の野菜が付き、化学調味料や添加物は一切使わないこだわりも。さらにしゃぶしゃぶ・焼肉どちらも食べたい方用に、両方がセットになったよくばりコースも。
出典:tinto*tinto
コースは1人前から利用できるので、探すのが意外と難しい一人旅の晩ご飯にも重宝します。
旅行の日程の都合で今帰仁まで行けない場合は、那覇市内に系列の長堂屋別邸があるのでぜひ立ち寄ってみては?
やんばるダイニング 松の古民家
出典:トリップアドバイザー
在来種アグー100%の純血種・黒琉豚が食べられる、築60年以上という赤瓦屋根の古民家を利用したお店。元々産子数が少なく、育てている方も5名しかいないため希少価値が高いとされる黒琉豚。そんな究極のアグー豚を、しゃぶしゃぶで食べられる!
出典:食べログ
セットは2名からで、お店オススメの部位3種と島野菜の盛り合わせ・やんばる若鶏の自家製竹筒つくね・島豚アグーの水ギョウザなども付きます。
1966年創業の元祖ソーキそばの店・我部祖河食堂のそばを、アグー豚や野菜などの旨みがたっぷり溶け込んだお出汁に入れてシメるという贅沢さ。
テーブルにある黒い豚の人形は、オーダーの際にブヒッと鳴らして使うなど遊び心も忘れていません。
オーナーはソムリエの資格も持つバーテンダー。旅の記念に、オススメのカクテルを選んでもらいましょう。
番外編で焼肉専門店!
焼肉・ホルモン 名嘉真
しゃぶしゃぶ・とんかつも美味しいですが、やっぱり焼肉と方言うにオススメのお店。
2019年12月にオープンした、アグー豚焼肉・ホルモン焼き専門店。タン・ロース・バラ・ヒレ・モモ、そしてホルモンはハラミ・ハツ・レバー・マルチョウ、ノドモト・テッポウ・ホッペなど珍しいものも。仕入れ状況により、希少部位も含め15種類ほど揃います。
中でも食べておきたいのが名物のねぎ塩タン丸。アグー豚のタンを丸々一本というド迫力。もちろん牛タンなどの「牛肉メニュー」や、島らっきょう・カクテキ・旨辛冷麺など一品料理も。
出典:食べログ
お腹に余裕があれば、ミックスのホルモンが500g、1kgのメニューもあるので試してみて!
店内は全40席の内16席がカウンター。ドリンク3杯に好きなフード1品で¥1000のセンベロメニューもあるので、サクッと飲みたい・食べたい時にもオススメ。
いろんな銘柄があると言うことは、食べ比べも楽しめると言うこと。
一般的にはしゃぶしゃぶで提供するお店が多いようですが、とんかつや焼肉などで食べられるお店もあるのでハシゴも楽しめますね。
体調を万全に整えてトライしてみてください。
※「アグー」「あぐー」とカタカナ・ひらがなが混在していますが、各店舗の公式サイトなどの表記に沿ってご紹介しています。
※営業時間や定休日・料金・予約可否などは、お出かけ前に公式HP等で最新の情報をご確認ください。
※希少部位や銘柄などは、売り切れによってご紹介のメニューが提供されない場合があります。