長野県内には、パワースポットとされる神社やお寺がいくつかあります。
年間600万人もの参拝者が訪れる善光寺や大河ドラマ「真田丸」でも注目を浴びた上田市の真田神社、信州の鎌倉と称される別所温泉の常楽寺に国宝の仁科神明宮など。
そんな数々の社寺の中でも、トップクラスのパワースポットと言われるのが戸隠神社。
戸隠と聞いて、神社よりもそばを思い浮かべる方も多いかもしれません。実際、戸隠にはそばを提供するお店が30軒以上もあると言われます。
そこで戸隠神社の見どころと、ランチに訪れたい戸隠そばのオススメ店をご紹介します。
戸隠神社について
日本の神話の中でも最も有名な天岩戸伝説。
出典:ご馳走マイル旅-初心者ANA陸マイラーの旅行記ブログ-
その神話に登場する天岩戸が飛んできて、現在の姿になったとされるのが戸隠山。その歴史は、2000年にも及びます。
神仏習合の頃は戸隠山顕光寺と称していましたが、明治時代に神仏分離により寺が切り離された際に戸隠神社と名を変えました。
出典:ameblo.jp
戸隠山の麓にある奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社からなる戸隠神社ですが、この5つを廻ることを五社巡りと言います。
五社巡りの注意点
戸隠神社への参拝なので、五社全てを廻りたいという方も多いはず。
戸隠までマイカーやレンタカーで向かう場合は、駐車場も事前に調べておく必要があります。
出典:アドイシグロ
奥社と九頭龍社を参拝する場合、参道入口に無料2ヶ所と有料5ヶ所の駐車場で合計300台以上のスペース。
さらに参道入口から、奥社・九頭龍社までは徒歩のみで約40分かかります。
中社は無料2ヶ所と有料1ヶ所で約180台。宝光社は無料1ヶ所と有料1ヶ所、そば処つる家も可能で約70台。
火之御子社は一番少なく3台分のスペースしかありません。
階段や坂も多く、往復するのに時間がかかる所も。体力面も考えて、無理な計画を立てないように気を付けたいですね。
出典:ameblo.jp
それぞれを車で向かうとしても5分程度ですが、時間と体力に余裕があれば神道(かんみち)と呼ばれる森の中を通る戸隠古道を歩くのもオススメです。
中社を起点に、奥社参道や宝光社までは約20分。さらに宝光社から火之御子社までは15分ほどです。
出典:酒とうどんと御朱印の日々
11月下旬頃から4月上旬頃の雪のシーズンも、参拝自体は可能です。ただしこの期間は閉鎖する駐車場もあるので、お出かけ前には天気予報とともに事前の確認を!
お盆や紅葉シーズンなど混雑する期間には戸隠スキー場に臨時駐車場が設けられ、中社や奥社参道入口までを結ぶシャトルバスも運行されます。
御朱印について
五社それぞれデザインの異なる御朱印があるので、五社巡りの際にはぜひ御朱印帳を持って行きましょう。持っていない場合は、授与所で手に入ります。
出典:戸隠神社
授与所は、奥社・中社・宝光社の3ヶ所にあります。奥社では九頭龍社、中社と宝光社では火之御子社の御朱印もいただけます。
御朱印の授与は事前に各社を参拝している事が前提なので、必ず参拝を済ませてから授与所へ向かいましょう。
出典:週末トレ・ジジのブログ
ただし冬季は閉鎖する授与所があり基本的には中社のみで対応しますが、12月の土日祝日は宝光社の授与所でもいただくことができます。
五社全ての御朱印が揃うと、記念のしおりがもらえます。
おみくじについて
最近では凝ったおみくじを揃えている神社がたくさんありますが、戸隠神社はちょっと変わっています。
出典:究極の外歩き
普通なら自分でひくところを、参拝者の数え年(※出生時を1歳とし、正月を迎えるごとに1歳ずつ足す)・性別を聞いた神職の方が祝詞をあげながらひいてくれます。
神話に因んだ和歌が書かれていたり、大吉や吉のほか平吉・向吉なども書かれていたりと個性的であり原始的なおみくじです。
出典:ameblo.jp
どこかに結び付けたりせず、持ち帰って一年間の生活の指標としてくださいとのこと。御朱印と同様、奥社・中社・宝光社の各授与所でいただけます。
戸隠神社五社の見どころ
奥社
戸隠神社の御本社で、ご祭神は天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)。開運・心願成就・五穀豊穣・スポーツ必勝などにご利益があるとされます。
出典:ameblo.jp
約2kmにわたって続く奥社への参道のほぼ中間地点にあたるのが、1710年に建てられた随神門。
そしてこの茅葺き屋根を乗せた朱塗りの門の先に、500mほどの杉並木があります。
出典:フォートラベル
樹齢400年と言われるクマスギで、まっすぐに空へと向かって伸びる巨木が参拝者を見守っています。
開発の手が入らず古くからの姿を守っていることから、この杉並木を含む戸隠神社奥社社叢は長野県の史跡・天然記念物に指定されています。
参道の後半に石段があり、ここを登り切ると奥社へ到着します。
現在の本殿は1979年に建てられたコンクリート造りですが、過去の建物は何度も雪崩で崩壊してしまったそうです。
本殿前にある狛犬はツノがあり、お尻を突き出したようなユニークな形が特徴。
随神門前の狛犬は30年ほど前に寄進された比較的新しいもので、表情も形も違います。見比べてみるのも面白いかも。
九頭龍社
奥社に隣接しているので、奥社と一緒に参拝していきましょう。
ご祭神は九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)で、江戸時代までは九頭龍権現として戸隠信仰の中心的な場所になっていました。
五社の中で唯一天岩戸伝説とは関係の無い神様で、生命の源となる水の神・雨乞いの神・縁結びの神として知られます。
また珍しいところでは歯痛・虫歯の神様でもあるそうです。
出典:Goo ブログ
創建は奥社よりも古いとされますが、いつ頃のご鎮座なのかは分かっていません。
本殿の奥には戸隠三十三窟の1つ「龍窟」があり、ここに九頭一尾の大蛇が棲んでいると言われています。
中社
ご祭神は天八意思兼命(あめのやごころおもいかねのみこと)で、天照大神が岩屋に籠もった際にどうしたら外へ導き出せるかを考えて岩戸を開くきっかけとなる神楽を考案した神様だそう。
出典:ちょこっとphoto日記
学業成就・商売繁盛・開運・厄除・家内安全などにご神徳があります。
大鳥居を中心に正三角形状に樹齢800年を超える三本の杉の巨木が立ち、ほかにも境内に樹齢700年の御神木も。
出典:フォートラベル
大鳥居の先には長く急な階段がありますが、左手に緩やかに続く女坂も。
中社の社殿は1955年に再建されたもので、拝殿の天井には狩野派絵師・河鍋暁斉による龍の絵が描かれています。
出典:ameblo.jp
戸隠神社社務所や宝物館「青龍殿」も中社に置かれています。
大鳥居の向かい側には戸隠観光情報センターがあるので、五社巡りや戸隠の見どころなど情報を仕入れることが出来ます。
宝光社
この地に鎮座されたのは、1058年と大変古い歴史を持ちます。
出典:素晴らしき日本の景色たち
ご祭神は天表春命(あめのうわはるのみこと)で、開拓・学問技芸・裁縫の神・安産の神・女性や子供の守り神です。
参拝には、5つに区切られている270段ほどの階段を進んでいきます。
体力に自信がない方は、階段の途中から左手に緩やかな上り坂があるのでそちらを利用しましょう。
出典:soraの日記
神仏習合の頃には宝光院と称し、1861年に建立された社殿には当時の面影を垣間見ることが出来ます。
五社の中でも最も古く、拝殿には龍や鳳凰など見応えのある彫刻が施されています。
出典:ameblo.jp
神仏分離の際に神社外へ出された木造地蔵菩薩半跏像・十王像・延命地蔵などの仏像は、戸隠神社前郵便局の近くにある地蔵堂に安置されています。
時間があれば立ち寄ってみてください。(※拝観時には隣接するそばの里二番館へ声かけをしてください)
火之御子社(ひのみこしゃ)
出典:ameblo.jp
ご祭神は天鈿女命(あめのうずめのみこと)を主祭神に、高皇産御霊命(たかみむすびのみこと)、栲幡千々姫命(たくはたちちひめのみこと)、天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)の四柱をお祀りしています。
1098年頃に創建され、舞楽芸能・縁結び・火防にご神徳があると言われます。
出典:MIZU NOTE
五社の中では規模も小さいので目立たない存在かもしれませんが、主祭神の天鈿女命は岩戸に隠れてしまった天照大神を外へと導き出させるために舞い踊った方。
戸隠神社を語る上では、外せない存在です。その踊りが、戸隠神社に残る「太々神楽(だいだいかぐら)」の始まりと言われます。
出典:The Gate
境内には1つの根から枝分かれし寄り添うように立つ樹齢500年の二本杉(夫婦杉)や、歌人・西行法師ゆかりのオオヤマザクラ「西行桜」も。
戸隠そばについて
岩手のわんこそばや島根の出雲そばとともに、三大そばに数えられる戸隠そば。
修行僧の携行食として戸隠にもたらされたものが、戸隠そばの由来とされます。
長野県では、山間の傾斜地を切り開いた土地で古くからそば栽培を行ってきました。
水はけや気候などそば栽培にいいとされる条件が揃っていたことで、美味しいそばを提供するお店も増えていきました。
出典:食べログ
戸隠のそばは、主にそば殻だけを取り除いて挽く「挽きぐるみ」と言うそば粉を使用。
実際にそば打ちを体験できる施設もあるので、より詳しく戸隠そばを知りたい方はぜひチャレンジをしてみては?
出典:食べログ
このエリアのそば店では、ぼっち盛りと呼ばれる独特の盛り付け方をします。
ぼっちとは戸隠の言葉で「ひとくくり」を表していて、根曲がり竹で作ったザルの上に馬蹄形に整えたそば5束ほどを盛り付けます。また、その束のことを1ぼっちとして数えます。
麺の太さやそばつゆ・天ぷらなどの一品メニューもそれぞれがお店ごとに異なるので、食べ比べも試してみたくなります。
戸隠そばのオススメ店5軒
うずら家
出典:ameblo.jp
中社の大鳥居近くにあるので、散策途中に便利。某グルメサイトでも高評価のクチコミが多く、週末や連休などは長い行列が出来ます。
10:30から営業しているので、どうしてもこのお店で食べたいという方は早い時間を狙うのがベスト。
出典:トリップアドバイザー
特定の地元生産者から霧下そばを中心に仕入れ、玄そばを真冬の厳寒期に年間使用分を石臼製粉。さらにマイナス20度で冷凍するため、いつでも新そばのような新鮮さを保つことが出来るそう。
ざるそばはその美味しさがダイレクトに伝わるので人気ですが、うずら家オリジナルメニューの「深山おろし」もオススメ。
出典:ameblo.jp
冷やかけに大根おろし、季節の天ぷらがたっぷり乗った必食の一品です。
そばの実
出典:食べログ
戸隠や黒姫の契約農家から仕入れる玄そばを石臼で自家製粉し、水は戸隠の山々の伏流水を使用。
その日の気温や湿度などを見極めて、最高のそばに仕上げています。
出典:食べログ
シンプルにざるそばもいいですが、辛味大根が乗った冷たいおろしそばや三種のつゆで楽しむそば三昧も捨てがたい。
出掛けるシーズンによっては、春の山菜や夏野菜の天ぷら、秋の新そばに冬のワカサギ・ゆきエビなど旬のものを使った限定メニューも楽しめます。
シメには、そばだんごやそばチーズケーキなどオリジナリティ溢れる甘味も味わっておきたいですね。
2021年度は5月8日~11月末までの土日祝日は10:30オープン、平日は11:00からなので来店時は要注意。
徳善院蕎麦 極意
出典:フォートラベル
戸隠神社への参拝や観光、冬にはスキーヤーも利用する宿坊。
茅葺き屋根の建物は1815年の再建のもので、2005年2月には国の有形文化財に登録されました。この宿坊に併設されているのが、そば店の極意。
出典:KEIGOLOG
昔ながらの天然醸造の特製醤油を主原料に、食品添加物不使用のそばつゆはキリッとした味わい。細めながらコシがあってツルツルとした食感のそばに良く合います。
ざるやかけなどシンプルに楽しむメニューのほか、煮物やおぼろ豆腐・そば団子などが付く昼の膳も。
出典:MUZU-MUZU
サクサクに仕上げたエビや季節の野菜を使った天ぷらも絶品。ただし11:45~15:00と営業時間が短いので、お出かけの際は注意が必要。
オリジナルのそばやそばつゆ、そばかりんとうなどレジ横のお土産コーナーで購入も出来ます。
山笑(やましょう)
そば好きの方なら、十割りそばも気になるところですね。それなら、戸隠では唯一の十割そば専門店・山笑へ行きましょう。
出典:ameblo.jp
戸隠産のそばの実を石臼で自家製粉し、もちろんつなぎは不使用。それだけでなく、添加物・化学調味料・加工食品不使用という徹底したポリシー。
「そば」「そばつゆ」「天ぷら」これだけをガツンと楽しみたい方、そば本来の美味しさを味わいたい方にオススメ。
出典:食べログ
そばの挽き方を「粗挽き」「細か挽き」かを選べる(※温かいそばは細か挽きのみ)のも特徴。
どちらも試したいなら、二種合せ・三種合せがピッタリ。細か挽き十割・粗挽き十割のメニューなら、小盛り・並盛り・大盛りとサイズも選べます。
出典:ameblo.jp
もっちりした食感と、そばの豊かな風味がしっかり感じられそばがきも人気です。
ご夫婦2人で営んでいるため、団体やグループでは対応出来ない場合があります。
奥社前なおすけ
戸隠産のそばを石臼挽きし、マイナス20度の冷凍庫で保存。その日使う分だけを取り出して使うため、豊かな香りとコシ・のど越しの良さが際立つそばに仕上げています。
お店のススメは、国産鴨を使ったアツアツの鴨汁に冷たいそばを浸して食べる鴨ざるそば。辛いものが得意なら、激辛の鴨ざるそばもありますよ!
出典:食べログ
冷たいざるそばは、なおすけでは束が6つの6ぼっち。他の店との食べ比べをしたいなら、半ざるの3ぼっちも。
また、1ぼっち単位でそばを追加することも出来ます。お腹が空いていれば、それに合わせて注文できるので便利!
出典:食べログ
温かいそばなら、春は山菜、秋にはきのこを使ったの季節限定のメニューも。
熊笹ソフトクリームや揚げそば饅頭など、ちょっとひと休みしたい時のおやつも販売しています。
2017年2月23日に「伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの」に該当するとして、中社・宝光社地区が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
これは宿坊群として全国初の選定だそうです。建物や街並みの美しさは、こういった保護と住民の手による景観づくりによって維持されています。
観光客が訪れることは地域にも大きな利益をもたらしますが、その一方で渋滞やゴミの増加などの問題点も増えてしまいます。
この景観をこれから先も保てるよう、マナーを守って戸隠の観光を楽しんでください。
※営業時間や定休日・料金などは、公式HP等で最新の情報をご確認ください。
※そば店では、売り切れの場合に閉店時間が早まる場合があります。