金沢市で最も人気のある観光スポットと言えば、まず兼六園を思い浮かべる方も多いでしょう。
それもそのはず、1年間に訪れる観光客は300万人近く。さらに、海外からの観光客だけでも年間40万人以上にもなります。
国を問わず、誰もが魅了される兼六園。単純に美しさを楽しむだけではなく、造られた背景や歴史を知れば見方も変わるはず。
そこで兼六園を見学する前に知っておくと便利な情報や、主な見どころなどをご紹介します。
兼六園の動画
兼六園へのアクセス
金沢市内で宿泊してから向かう場合は距離により徒歩でも可能ですが、2人以上であればタクシーを選択肢に入れてもいいかもしれません。
金沢市内では、大和タクシーやJapanTaxiのスマホアプリで簡単に手配できます。JR金沢駅東口から兼六園まで日中なら¥1200くらいなので、人数によっては割安です。
出典:ご当地タクシー
また一風変わった「寿司タクシー」なるものもあるので、兼六園の観光に合わせてお寿司も楽しみたい方は乗車してみては?
出典:金沢・北陸の音色
兼六園だけでなく金沢市内の観光スポットをいくつか廻る予定であれば、JR金沢駅からバスを利用するのが便利です。
観光客が利用しやすいのは、「兼六園シャトル」と「城下まち金沢周遊バス」の2つ。
兼六園シャトル
出典:フォートラベル
JR金沢駅東口7番のりばから、9:30~17:50までの間を20分間隔で運行。
城下まち金沢周遊バス
出典:ぶらり加賀たび
JR金沢駅東口6番のりばから、右回りルート・左回りルートが8:38~18:05までの間をそれぞれ約15分間隔で運行。
バスを利用する際のポイント
出典:思いつくままに書くブログ
いずれも1乗車あたり大人(中学生以上)¥200・小人¥100ですが、金沢市内1日フリー乗車券であれば大人(中学生以上)¥600・小人¥300になります。
ただし「兼六園シャトル」は土・日・祝日なら半額になるので、乗車回数によっては金沢市内1日フリー乗車券を買うよりもその都度精算した方がお得です。
出典:新米おばあちゃんの知恵袋
金沢市内1日フリー乗車券は車内では販売していないので、JR金沢駅の東口なら1番・7番のりばの近くにある北鉄案内所で、また市内の一部ホテルでも購入できます。
金沢市内1日フリー乗車券を受付で提示することによって、金沢21世紀美術館や加賀友禅会館・懐華楼など市内20ヶ所以上の施設で割引を受けることが出来ます。
※兼六園シャトルは2020年4月18日より当面の間運休中。運行状況については北鉄HPでご確認ください。
JR金沢駅から徒歩で行ける!?
特に大きな荷物も無く、時間的にも余裕があればもちろん徒歩で行くことも出来ます。ただしJR金沢駅からだと30分はかかります。
例えば途中にある近江町市場に寄ったり、金沢城公園の中を通ったりすればそれほど苦にはならないかも。ただ歩くだけよりも、ちょっと寄り道をしながらの方が楽しいですよね。
シェアサイクルを利用する
もっとアクティブに金沢市内の観光をしたい方には、公共のシェアサイクル「まちのり」がオススメ。
出典:ameblo.jp
市街地の至る所にあるサイクルポートで、どこでも借りられて返せます。つまり、借りた場所に返さなくていいのでとっても便利!
しかも、すべて電動アシスト自転車なのでラクラク。利用するには専用のスマホアプリからで、スマホ・クレジットカードが必要。
貸し出し・返却・料金などの詳細は、「まちのり」のHPでご確認ください。
兼六園をお得に見学するには?
兼六園を見学するには、入園料(大人¥320・小人¥100)が必要です。
65才以上や障害者手帳をお持ちの方・石川県民など、一定の条件を満たす方は入園料が免除になることがありますが、一般的な割引チケットはありません。
それでも、以下のようなものを利用することによってよりお得に見学できます。
兼六園+1利用券
兼六園を見学する場合、周辺の施設へも立ち寄ると言う方も多いと思います。「兼六園+1利用券」(¥500で2日間有効)であれば、兼六園と1ヶ所の文化施設の計2ヶ所が見学可能。
見学できる施設は金沢城公園内の菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓、兼六園周辺の石川四高記念文化交流館・石川県立美術館・加賀本多博物館・石川県立歴史博物館・石川県立伝統産業工芸館の中から1ヶ所のみ。
出典:みちしるべ2
この中で一番入園料が高いのは加賀本多博物館の大人¥400なので、値段から言えば加賀本多博物館を選べば一番お得です。
ただし金沢城公園内の3ヶ所は65才以上なら無料、金沢市内1日フリー乗車券を購入する場合は主な観光施設は¥50程度割引になるので上手に利用しましょう。
早朝無料入園サービス
兼六園の開園時間は3月1日~10月15日が7:00~18:00、10月16日~2月末日が8:00~17:00です。
出典:JAPANKURU
しかし、通常の開園時間よりも早い時間なら無料で見学できます。4月1日~8月31日は4:00、3月中と9月1日~10月31日は5:00、11月1日~2月末日は6:00からで、開園時間の15分前には退園しなくてはいけません。
各地から早朝に金沢入りした場合や、金沢市内で宿泊した時などはぜひ利用してみてください。季節によっては夜明け前で薄暗い時間帯もありますが、その分人も少なくのんびり見学できます。
無料開放日
兼六園では1年の内、何日かを無料開放日として設定しています。
出典:金沢から発信のブログ
12月31日~1月3日、桜の見頃の時期(※2019年は4月5日~4月11日)、毎年6月上旬に行われる金沢百万石まつりの3日間、8月14日~16日のお盆の時期、11月3日の文化の日、そして定期的に開催される金沢城・兼六園ライトアップ期間中です。
もし旅行が上記いずれかの日に当たるようであれば、無料で入園できます。
入園料をクレジットカードや電子マネーで支払う
料金所窓口では、入園料の支払いにクレジットカードや電子マネーが利用できます。VISAやJCB、SuicaやPASMO、楽天Edyやnanacoなど主なブランドのクレジットカード・電子マネーに対応。
割引ではありませんがクレジットカードから電子マネーへチャージすれば、それぞれのポイントを貯めることが可能。
兼六園はどこから入る?
兼六園には、「桂坂」「蓮池門」「真弓坂」「随身坂」「小立野」「上坂」「桜ヶ岡」の7ヶ所の出入り口があります。
桂坂
どの方面から兼六園を目指すかまたは見学後にどこに立ち寄るかによって、最寄りの出入り口が異なります。
例えばJR金沢駅から金沢城公園を通ってきた場合は桂坂、金沢21世紀美術館を見学してから訪れる場合は真弓坂、兼六園から石川県伝統産業工芸館や成巽閣へ向かう場合は随身坂・小立野など。
土日祝日などは料金所が混雑することもあるので、回避策として別の出入り口をパンフレットやHPの園内マップなどを事前に確認しておくといいですね。
兼六園について
茨城県の偕楽園・岡山県の後楽園とともに日本三名園の1つに数えられ、国の特別名勝にも指定されています。
出典:そんな毎日、こんな毎日
また金沢城跡や兼六園などを構成資産とする「城下町金沢の文化遺産群と文化的景観」として、世界文化遺産の登録も目指しています。

1676年に5代藩主の前田綱紀が、金沢城内に造らせた別荘の周囲を庭園化したのが始まり。1759年の大火によって一部が焼失しましたが、その後の藩主らにより復興や庭の拡張・整備が行われ13代藩主・斉泰の時代にはほぼ現在の形になりました。
加賀藩の歴代藩主により長い年月をかけて造られた兼六園は、隅々までこだわりがいっぱいです。
兼六園の名前の由来
中国・宋の時代の書物「洛陽名園記」にある記述からで、宏大・幽邃・人力・蒼古・水泉・眺望の6つの景観を兼ね備えているという意味があり、1822年に命名されました。
宏大は明るく広々とした様子、反対に幽邃は静かな様子。人力は人の手が加わること、蒼古は古びた趣。池や滝などの水を表す水泉、眺望は眺めの良い様子。
それぞれ相反するようなこの6つの景観が見事に共存しているのが兼六園で、その美しさは昔も今も変わらず雅な時代の姿を留めています。
兼六園の主な見どころ
霞ヶ池
出典:たんぶーらんの戯言
園内にある池の中で最も大きく、兼六園のほぼ中心に位置しています。池の中には亀のような形をした蓬莱島、周囲には栄螺山や唐崎松・内橋亭などがあります。
徽軫灯籠(ことじとうろう)
出典:フォートラベル
兼六園を代表する風景の1つ。二股になった足の部分が、琴の糸を支える琴柱(ことじ)に似ていることからこの名が付いたと言われます。
写真は手前にある虹橋を入れて撮るのがオススメ。
眺望台
出典:フォートラベル
海抜23mで眼下に金沢の市街地、正面に卯辰山を眺めることができ、遠くに目をやると、白山山系・医王山・能登半島方面を見渡せます。
七福神山
出典:N氏の金沢ぶらり散歩日記
12代藩主斉広が造った竹沢御殿の庭園の一部で、曲水や雪見灯籠などは当時の雰囲気を残しています。七福神をなぞらえた天然石が置かれています。
瓢池(ひさごいけ)
翠滝から流れた水が、この池を潤しています。かつては蓮池庭(れんちてい)と呼ばれていました。中島には、朝鮮出兵の際に加藤清正が持ち帰ったと伝わる海石塔が建っています。
夕顔亭
出典:フォートラベル
兼六園内の中で最も古い建物で、1774年に11代藩主治脩が建てたもの。
茶室内の壁にある夕顔の透彫りが名前の由来となっています。1989年に県の文化財に指定されました。
時雨亭
出典:レトロな建物を訪ねて
明治の初めに取り壊されたものを、残された平面図を参考に2000年に復元されました。長谷池の畔に建てられ、内部の見学が自由に出来ます。
また、有料で抹茶または煎茶と生和菓子がいただけます。座敷から眺める庭園の美しさに心が癒やされます。
梅林
1968年に明治百年記念事業として、全国から集められた名梅約20種200本あまりを植樹。
例年3月上旬~下旬に見頃を迎えます。また梅林内には時雨亭とともに復元された舟形の東屋「舟之御亭」があります。
噴水
出典:Trains トラベラー
霞ヶ池が水源となっていて、高さ3.5mまで上がります。
金沢城の二の丸に水を引くために、1861年13代藩主斉泰が試作させたもので、日本最古と言われます。
栄螺山(さざえやま)
出典:亀の川登
13代藩主斉泰の時代に、霞ヶ池の拡張工事を行った際に掘られた土を利用して造られた築山。
高さ9m・周囲約90mあり、頂上へぐるぐると渦を巻くような道が造られたことからこの名が付きました。
根上松
出典:たかたかのトレッキング
40以上の根が、地上2mほどまでせり上がったように見える珍しい松。
土を盛った上に松を植え、地表近くまで根が生長した頃に土を取り除いたものと言われます。
翠滝(みどりたき)
出典:いしかわ緑の広場
霞ヶ池から流れているため水量が豊富で、瓢池へと注いでいます。
高さ6.6m・幅1.6mで滝壺は無く、水が落ちるところには石が置かれています。
唐崎松
出典:フォートラベル
琵琶湖畔の唐崎松から種子を取り寄せて育てた黒松。11月になると行われる雪吊りの作業は、冬支度の始まり。
雪の重みで枝が折れるのを防ぐために行われるもので、兼六園の冬の風物詩になっています。
雁行橋(がんこうばし)
出典:ameblo.jp
11枚の赤戸室石を使用し、雁が列を成して飛んでいく様子に見えたことからこの名が付けられました。
かつてはこの橋を渡ると長生きすると言われましたが、石の摩耗が激しくなり1969年から通行禁止になっています。
花見橋
出典:まっさの日々旅人な暮らし
名前の通り、この橋からは季節ごとの花々を楽しむことが出来ます。橋の下を流れる曲水に沿い、桜やサツキ・ツツジなどが咲き誇ります。
なかでも、5月に見頃を迎えるカキツバタは有名。
黄門橋
出典:yura note
青戸室石で出来た一枚岩で、二枚が重なったような立体的な細工を施しています。
長さ6m・幅1mで、緩やかなアーチ状になっています。
兼六園には約160種8200本ほどの樹木があります。そのため春の桜や夏の緑、秋の紅葉に冬の雪吊りと四季を通じて美しい景色を楽しむことが出来ます。
また人のまばらな早朝や夜のライトアップなど、時間帯によっても異なる風景を見せてくれます。
いつ出掛けても、新鮮な気持ちで向き合える。そんな兼六園へ、今度の週末行ってみませんか?
※兼六園は年中無休ですが、季節により入園時間が異なります。お出かけ前にご確認ください。