食事の時に、記念日に。寝る前のひと時など、生活の中にワインが欠かせないという方も多いかもしれません。フランスやイタリア、カリフォルニアにチリ。世界各国に有名なワインの産地がたくさんありますが、日本のワインはどれくらい知っていますか?
実は、山梨県が日本ワインの発祥地。特に勝沼にはたくさんのワイナリーが集まっています。そこで自分に合ったワインを探しに、気軽なワイナリー巡りの旅に出かけてみませんか?数ある中から、行ってよかったと思える5軒のワイナリーを厳選しました。きっと探していた1本に出会えると思いますよ。
山梨県で作られるワインとは?
山梨県は、ワインの原料となるぶどうの栽培も盛んです。収穫量は日本一で、2位の長野県を大きく上回っています。日照時間が長く少雨で、ぶどうの栽培に適しています。
出典:モリログ – はてなブログ
国内唯一の在来種である「甲州種」の栽培に適している勝沼にはワイナリーも多く、国産ワインの約3割は山梨県で生産されています。「甲州種」のぶどうから作られる白ワインは、世界からも注目を集めるワインへと成長しています。
ワインの醸造は明治時代から始められ、現在は山梨県内に約80のワイナリーが集まっています。ワイナリーでは試飲だけでなく、見学できる施設がいくつかあります。そこで、山梨県内でぜひ訪れたいワイナリーを5ヶ所厳選!今度の週末は、ワイナリーを巡る気軽な旅に出かけてみませんか。
サントリー登美の丘ワイナリー
出典:フォートラベル
日当たりに恵まれた南向きの斜面に広がる広大なぶどう畑を持ち、9品種のぶどうを栽培しています。太陽の恵みをいっぱい受けて丁寧に育てられたぶどうは手摘みされ、ワインの醸造・瓶詰まで一貫して行われています。
人気のワイナリーツアーに参加してみよう!
こちらでは不定期で開催される無料の「登美の丘ミニ講座」や、「貯蔵庫見学ツアー」など無料で参加できる見学ツアーも。
出典:プレイライフ
また土日祝日のみの「登美の丘ツアー」もあり、ぶどう畑や醸造所・貯蔵庫の見学に試飲が付いて¥1000。10:40~12:00と13:40~15:00の2回開催されますが、先着順のため参加したい場合は開始時間よりも早めに到着しておきましょう。
出典:食べログ
実際に味を確かめてから購入したいという方は、有料のテイスティングカウンターへ。国産ぶどう100%の日本ワインが、品種や産地などさまざまなものが揃っています。またシャルドネの飲み比べを行うときも。
5種または3種のどちらかが選べてナッツが付いて5種は¥1500、3種は¥800。実際に味を確かめてみて、好みのものが見つかったらお土産にぜひどうぞ。園内には見学用のぶどう畑や、ワイナリーの歴史やワイン作りなどをパネルや映像で紹介するゲストハウスなども。
出典:よっちゃばるかい!
展望デッキからは、天候が良ければ広大なぶどう畑と町並みの先に富士山も見ることもできます。ショップもあるので、自分用のお土産に買っていくこともできます。種類・量も豊富なので、好みを伝えてセレクトしてもらいましょう。
シャトー勝沼
出典:クチトテ
1877年に、ぶどう栽培を行っていた創業者がワイン醸造を始めたことからスタートしたシャトー勝沼。ぶどうの栽培から、醸造・販売に至るまでを全て一貫して行うことに徹しています。こちらでは工場見学を毎日受け付けていて、10名以下なら事前の予約も不要。もちろん無料で参加できます。
出典:旅する風見鶏
時が経つのを静かに待つ樽や瓶詰めされたワインが眠る地下の貯蔵庫や、瓶詰やラベル張りなど機械によって行われる工程などを見学。スタッフによる解説付きなので、詳しく知ることができます。
出典:食べログ
見学後には、ワインやぶどうジュースの試飲も可能。充実したワインショップで、ぜひ旅のお土産を。ここでしか買えないものも多いのですが、ラベルや色合いが可愛らしいスパークリングロゼは女性にオススメ!
ワインだけじゃなくパンも人気だった!
ショップ2階にはレストラン鳥居平があり、地産地消をベースにしたランチやディナーがいただけます。休日は混雑するため、こちらで食事を予定する場合は、事前に予約をしておくのがベスト。食事の際に出されるパンは、工場入り口にあるパン工房で作られたもの。中でも人気なのがぶどうパンとクリームパン。
出典:食べログ
特にクリームパンは地元でも有名で、購入する時にクリームを挟んでくれるスタイル。定番のクリーム以外に、春は白桃・夏はレモン・秋はブルーベリー・冬はいちごと、それぞれの季節の旬に合わせたフルーツを使用したクリームも。ぜひシャトー勝沼を訪れた際には、こちらのパン工房にも足を運んでみてください。
ルミエールワイナリー
出典:食べログ
1885年創業で、3ヘクタールものぶどう畑では農薬や肥料を使用せず雑草も生やしたままの自然栽培を採用。ぶどうの栽培とワイン醸造を一貫して行い、皇室とも縁のある由緒あるワイナリー。
1901年に耐酸性に優れた花崗岩で造られた石蔵発酵槽は、国の登録有形文化財に指定。さらに1998年からこの石蔵を利用してワイン作りを始め、完成したワインは石蔵和飲と名付けられて販売されます。
出典:中央線沿いで暮らす。 – はてなブログ
11:45~と14:00~からの30分コース、10:30から60分のコースのワイナリー見学ツアーがあります。事前に予約が必要で、2名から。どちらのコースも石蔵発酵槽も見学できるので、ぜひ参加してみてください。
セルフサービス式のテイスティングとは?
出典:こまだこまのロバの耳ブログ
ワイナリーのお楽しみと言えば、やはりテイスティングですよね。こちらでは事前に専用カードを¥500で購入し、エノマティックというワインディスペンサーを使ったセルフサービス方式。
カード購入後にグラスを受け取り、ワインと分量を決めて注ぐというやり方。無料試飲だと買わないといけないなど気になる方には、セルフサービスの方が気が楽かもしれませんね。
出典:富士山県
こちらに併設されているレストランも人気で、甲斐サーモンや甲州ビーフなど地元の食材や旬の野菜を使ったフレンチがいただけます。ディナーは完全予約制、ランチも混み合うので予約または訪れる前に連絡を入れて確認したほうがいいでしょう。
レストランでも提供されるワインベーコンを、ショップでも購入することができます。もちろんワインも豊富に揃っていますので、試飲をしながらゆっくりとお土産を探してください。
くらむぼんワイン
出典:わからないなりに努力しようとしてみるブログ
1913年に創業し、1932年には近隣のぶどう農家が集まり田中葡萄酒醸造協同組合に。その後も有限会社山梨ワイン醸造・株式会社山梨ワインを経て、2014年に現在の「くらむぼんワイン」へと社名を変更。これは、宮沢賢治の童話・やまなしで蟹が話す言葉から名付けたそうです。
出典:山梨中央銀行
ワイナリーから徒歩1分の場所に自社のぶどう畑を持ち、甲州種以外にマスカット・ベーリーAやシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニョンなどを栽培しています。2007年から、肥料を与えず耕さない自然栽培を行っています。
敷地内にはワイナリーとは思えない立派な日本家屋が建ち、1階部分にテイスティングスペースやワインショップが設けられています。
趣のある日本家屋はワインテラス
出典:ぐるたび – ぐるなび
この建物は築130年ほどで、養蚕農家だった家屋を移築したもの。見学後には、建物内の座敷で休憩もできます。また一角にワインの歴史を紹介する資料室や、地下には樽のワインがゆっくりと眠る貯蔵庫も。
こちらで行っているワイナリーツアーは、自社のぶどう畑やワインセラー・貯蔵庫の見学とテイスティングが付いて¥500。しかもワイン・果汁を購入すれば返金されるので、とってもお得!
出典:那須の月夜に – Seesaa
ワイナリーツアーは予約制なので、お出かけ前には必ず連絡を。ワインテイスティングだけも可能で、こちらも同様にショップで購入すれば返金してくれます。オススメは『ベルカント』という赤ワイン。マスカット・ベーリーA種を果皮に付いた天然酵母でじっくりと発酵。果実の深い香りと味わいを楽しめるので、ぜひ試してみてください。
ロリアンワイン 白百合醸造
出典:みんなのワイン
1938年に創業し、さまざまな体験ができる楽しめるワイナリー。ロリアンとはフランス語で東洋を意味し、日本の技術と伝統を駆使してヨーロッパに劣らぬ高水準のワインを作ることを目指しています。2ヘクタールの自社ぶどう畑では、甲州種やシャルドネ・メルローなど約20種の栽培を行っています。
出典:富士の国やまなし観光ネット
ぶどう作りからワインの醸造・販売までを一貫して行い、無料ワインツアーを開催しロリアンワインを幅広く紹介しています。数種のテイスティングが付く有料のツアーもありますが、こちらのワイナリーが他とは違うのは体験の数。
大人も子供も楽しめる体験がいっぱい!
ワインの原料となるぶどうの世話をする農作業体験や、昔ながらの作り方を体験できるぶどう踏み。工場敷地内にあるガラス工房では、ガラス吹きやステンドグラスの体験などもできます。
出典:ぐるなび
そしてオススメは、生ワインのボトル詰めとオリジナルのラベル作り体験。ボトルに生ワインを詰めた後、コルク栓打ちをしてラベルを貼るまでの作業を自分でできます。ラベルは数種類ある既存のものから選んでイラストや文字を入れることができるので、旅の記念になりますよね。
出典:神の雫ワインリスト
ワイナリーというと大人だけの楽しみという感じもありますが、ここならファミリーでのお出かけにもピッタリです。テイスティングや体験を楽しんだら、ショップでぜひお土産も探していきましょう。
こちらのイチオシは、甲州種100%使用した辛口の白ワイン『勝沼甲州』。人気漫画の「美味しんぼ」「神の雫」にも登場しています。
ワイナリー巡りにオススメの宿
1泊してワイナリー巡りを楽しむという方に、オススメの宿をご紹介します。
笛吹川温泉 別邸坐忘
出典:多摩ぐるぐる
1877年創業と、日本最古のワイナリーである「まるき葡萄酒」が手掛ける宿。敷地3000坪に本館と本館離れ、2015年にオープンした別邸離れ、日本庭園などがあります。こちらは山梨の味覚とワインが楽しめる宿。
出典:多摩ぐるぐる
もちろん温泉もあり、1日650トンも湧出する高アルカリ性の温泉はトロリとしたお肌に優しいお湯。開放感たっぷりの広々とした露天風呂や、大きな窓から光が差し込み明るい雰囲気の大浴場で楽しみましょう。別邸や本館の庭園に面した客室には露天風呂も付いていて、誰にも邪魔されずに温泉を独り占め!
予約困難な人気のお部屋は?
出典:ameblo.jp
特に人気の高い本館の庭園露天風呂付き和洋室は、宿に2室しかなくなかなか予約が取れない部屋。ライブラリーにはセンス良くセレクトされた蔵書が置かれ、ゆったりとした時間を過ごせるステキな空間。しかも午後になると無料でいただけるワインも置かれるなど、さすがワイナリーが手掛けるだけあってサービスも充実。
敷地内にある日本庭園には大きな池があり、たくさんの鯉が優雅に泳いでいます。フロント横に当日分のエサが置いてあるので、ぜひあげてみてください。ものすごい勢いでエサに群がってくるのでビックリするかも。ちょっとだけ贅沢な休日を過ごしたい時に選びたい宿です。
ワイン民宿 鈴木園
出典:miccaの三日三晩
1976年に明治時代の古民家を改装した宿をオープンし、その後カフェを営んでいましたが2015年から現在のB&Bスタイルの宿にチェンジ。古民家の母屋と土蔵を改装した宿泊棟があり、客室数が少ないため週末や連休は予約が取りにくい人気の宿。しかも年間を通してとてもリーズナブルに宿泊できる設定なので、ワイナリー巡りの拠点としても最適。
出典:ameblo.jp
ツインルームと、トリプルベッドの2間続きの客室があります。館内や室内はアンティークのインテリアがとても素敵で、和洋クラシカルスタイル。全室バス・トイレ付きですがテレビはなく、至ってシンプル。
1泊朝食付というB&Bなので、夕食は外で済ませるのが基本。夜はルームサービスでワインをいただきながら、ゆっくりと過ごすのがオススメ。
居心地よくてもう1泊したくなるかも?
出典:mosh kitchen
時間があれば地下にあるギャラリーで展示するぶどうやワインにまつわる品々や、ワインセラーなども見学していきましょう。また宿から「ぶどうの丘」の割引券がいただけるので、こちらのレストランや日帰り温泉を利用するのもいいですね。
朝食は、薪ストーブの置かれた食堂でいただきます。とにかく雰囲気が素敵で、1度宿泊するとまた泊まりたくなる。リピーターが多いのも頷ける宿です。
甲州料理とワインの宿 千年湯 岩下温泉旅館
出典:食べログ
10室の客室がある宿泊者専用の新館と、1875年に建てられた旧館からなる一軒宿。旧館は2016年に国の有形文化財に登録されるなど、その歴史と佇まいが素敵です。現在は、立ち寄り温泉としても利用されています。
出典:トラベルジェイピー
岩下温泉は、もともと地域の人たちの共同浴場として親しまれていました。源泉そのままの28℃の冷泉と、加温してある湯舟があるので交互に数回入るのを宿が推奨しています。湯上り後には1階にある温泉Cafeや、2階にある広間でのんびりと寛ぐことができます。宿泊者用に、源泉を加水せずに沸かしたお湯がたっぷりと注がれた露天風呂と内風呂も。
旧館自体がノスタルジックな雰囲気に包まれていて、どこにいてもタイムスリップしたような不思議な感覚になります。
宿泊者だけが味わえる地元ならではの味覚を堪能!
出典:一休
食事は、新館1階にあるいろりの間で。自家栽培された野菜や地元農家から買い付けた新鮮野菜、富士山麓牛や甲斐サーモンなど地のものをふんだんに使った会席料理の夕食。若女将がセレクトした、極上の甲州ワインとともにいただきましょう。
そして翌日は、これぞ日本の朝ごはんと言った和定食の朝食。いろりで作るお味噌汁が、体中に染みわたります。宿では『ふるまい湯』というイベントを定期的に開催し、通常大人¥500の入浴料が¥100に!当日は近隣のお店や農家さんも集まり、ちょっとしたお祭りのような賑やかさ。立ち寄り湯はもちろん、ぜひ宿泊もしてみてください。
ワイナリー巡りと併せて訪れたい場所
時間があれば、ぜひこちらにも立ち寄ってみては?
ぶどうの丘
出典:ameblo.jp
ぶどう畑に囲まれた小高い丘の上にあり、宿泊施設や温泉・レストランなどが集まる複合施設。特に見逃せないのが「ワインカーヴ」。
テイスティングできる種類が充実すぎる!
出典:ameblo.jp
甲州市推奨の約200銘柄2万本のワインを揃え、1階の売店でタートヴァンと呼ばれる試飲容器を¥1100で購入すれば、樽を利用したテーブルの上にあるワインを自由に飲み比べることができます。
出典:食べログ
他にも甲府盆地や南アルプスが見渡せる眺望が自慢のレストランやバーベキューガーデン、郷土料理のほうとうが食べられる食事処なども。
温泉は、1日200トンも湧出する美肌効果の高い高アルカリ性温泉。ワイナリー巡りの途中にぜひ利用してみては?
柏尾山大善寺
出典:戦国武将列伝Ω
ぶどう寺とも呼ばれ、ワインにも縁のあるお寺で周囲にはぶどう畑が広がります。718年の開創と言われ、1300年の歴史があります。僧・行基が、夢に現れた薬師如来のお姿と同じものを刻んで安置したのが大善寺。しかも左手の上にぶどうを持っているという珍しいもの。
出典:かつぬまケーブルネット
行基は薬園を作り、法薬のぶどうの作り方も村人に教えたため、この地でぶどうが栽培されるようになったと言われます。これが甲州ぶどうの始まりと伝えられます。ご本尊の薬師如来像と両脇侍像の日光・月光菩薩は国の重要文化財、薬師堂は国宝に指定されています。
出典:とことん遊ぶぞ 北海道! – さぽろぐ
普段は厨子の中に納められているためその姿を拝むことはできませんが、5年に1度ご開帳があります。住職と檀家さん達で作る自家製のワインも味わえるというのも、このお寺ならでは。ぜひワイナリー巡りと併せて参拝していきましょう。
ワイナリー巡りの強い味方!
便利な「ワインタクシー」を使ってみよう!
ワイナリー巡りに欠かせないのがタクシー。もちろんその都度利用することもできますが、定額制のタクシーはもっと便利!県内のワイナリーに精通するドライバーが案内してくれる、貸切タクシー。
出典:トラベルジェイピー
2時間から設定があり、1台¥10000から。4名まで乗れますので、人数が多ければ一人当たりの料金が割安になります。おすすめのルートもありますが、好きなワイナリーに行くこともできます。
ハンドルキーパーがいない場合は、ぜひ利用を検討してみては?『やまなしワインタクシー』のHPに詳細が掲載されていますので、旅の日程が決まったら、まずはチェック!
山梨県にある多数のワイナリーでは見学やテイスティング以外に様々な体験ができるなど、子供が一緒でも充分楽しめる施設として週末のプチ旅行にピッタリです。ぜひ自分に合ったワインを探しに、家族そろってのお出かけにワイナリーへお出かけ下さい。
山梨県ワイン酒造組合のHPにヴィンテージチャートがあり、1992年~2017年までのものが確認できます。記念年など気になる年代のものを、事前にチェックしておくといいですね。
※ワイナリーツアーは事前に予約が必要な場合があります。また開催日や休業日・料金など、詳細は各ワイナリーのHPでご確認ください。